2023.4.20
英語を学び直している英語学習者から、「関係代名詞が今イチ分からない」という声を耳にする。
そんな人は、ここで紹介する内容を試してみてほしい。これまでとは違った感覚で関係代名詞の文を解釈できるはずだ。
関係代名詞は、「2つの文をつなぐ」という説明がなされることが多い。たしかにその通りではあるが、個人的にはあまり好きな説明ではない。「なぜ2つの文をつなぐ必要があるのか」がそもそも示されていないからだ。
そこで筆者は「関係代名詞は形容詞みたいなもの」と伝えている。形容詞といえば名詞を説明する(修飾する)が、形容詞一語ではどうしても説明できない場合がある。そんなときに関係代名詞を使って文で説明するのだ。結果として、「関係代名詞は2つの文をつなぐ」ことになる。
具体的な例を挙げよう。「車」を修飾(説明)する形容詞は山ほどある。blue, red, big, small, old, new…。「新しい車」と言いたいときならa new carだ。しかし、もし「私はしゃべれる車が欲しい」と言いたいときはどうだろう?「しゃべれる」を表す形容詞はない。こんなとき、関係代名詞の出番となる。「しゃべれる車」はa car that can speak (thatはwhichでも代用可)。これが、筆者が「関係代名詞は形容詞みたいなもの」と言った理由だ。「しゃべれる」という、本来は形容詞が担うべき修飾部分を、関係代名詞が代わりに担うのだ。これを文に組み込み、「私はしゃべれる車が欲しい」とするならば、I want a car that can speak.となる。
ではここから、関係代名詞を体得するための実践練習に入ろう。効率的にマスターしたければ、いきなり文を作る練習をするのではなく、部分に分けて作る練習から入ろう。「私はしゃべれる車が欲しい」ならば、「しゃべれる車」a car that can speakという部分を作るところからスタートするのだ。
細かい文法説明はあえて省く。下記の(例)を真似して、(1)から(5)まで、表現を作ってみてほしい。
(例)「しゃべれる車」 a car that can speak
(1)「部屋で歌っている少女」 (a girlから書き始めてみよう!)
(2)「川で(in the river)泳いでいる少年」
(3)「英語をしゃべることができる女性」
(4)「東京に住む祖父」
いかがだろうか?「難しかった」と思った人も多いかもしれない。しかし、答えを見てみれば、「意外にシンプルだな」と思うだろう。
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答え
(1)「部屋で歌っている少女」 a girl that is singing in the room
(2)「川で泳いでいる少年」 a boy that is swimming in the river
(3)「英語をしゃべることができる女性」 a woman that can speak English
(4)「東京に住む祖父」 a grandfather that lives in Tokyo
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次は、関係代名詞が目的語になっているパターンだ。ここでもあえて文法説明はしない。例文を真似て、表現を作ってみよう。
(例)「私が好きな歌手」 a singer that I like
(1)「私が好きでない男」 (a manから書き始めてみよう!)
(2)「私が書いたeメール」
(3)「私が撮った(took)写真」
(4)「私が会った女性」
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答え
(1)「私が好きでない男」 a man that I don’t like
(2)「私が書いたeメール」 an email that I wrote
(3)「私が撮った(took)写真」 a picture that I took
(4)「私が会った女性」 a woman that I saw
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それではいよいよ、上記の部分を使って、完成された文を作ってみよう。まずは、「関係代名詞が主語になっているパターン」から。
(例)「私はしゃべれる車がほしい」 I want a car that can speak.
(1)「部屋で歌っている少女がいます」(There isで始める)
(2)「川で(in the river)泳いでいる少年がいます」
(3)「私は英語をしゃべることができる女性を探しています(I am looking for…)」
(4)「私には東京に住む祖父がいます」(I have~で始める)
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答え
(1)「部屋で歌っている少女がいます」 There is a girl that is singing in the room.
(2)「川で泳いでいる少年がいます」 There is a boy that is swimming in the river.
(3)「私は英語をしゃべることができる女性を探しています(is looking for)」 I am looking for a woman that can speak English.
(4)「私には東京に住む祖父がいます」(I have~で始める) I have a grandfather that lives in Tokyo.
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続いて、関係代名詞が目的語になっているパターンもやってみよう。
(例)「街で私が好きな歌手を見た」 I saw a singer that I like in the town.
(1)「今晩、私が好きでない男に会う予定だ」
(2)「彼は私が書いたeメールを受け取った(received)」
(3)「私が撮った(took)写真がある」
(4)「私が昨日会った女性はあなたの上司だ」
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答え
(1)「今晩、私が好きでない男に会う予定だ」 I’m going to meet a man that I don’t like this evening.
(2)「彼は私が書いたeメールを受け取った(received)」 He received an email I wrote.
(3)「私が撮った(took)写真がある」 There is a picture I took.
(4)「私が昨日会った女性はあなたの上司だ」 A woman that I met yesterday is your boss.
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補足だが、関係代名詞thatが表すものが「人」の場合、thatの代わりにwhoを使ってもよい。また、thatが表すものが「モノ」の場合、thatの代わりにwhichを使ってもよい。
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いかがだったろうか?関係代名詞を感覚的にマスターするならば、ここでやったように、名詞+関係代名詞の部分を作る練習から始めて、その次に文を作る、というステップを踏んだ方が習得しやすい。まずはここに示した例を覚えよう。そして今後、関係代名詞で迷ったら、またこのコラムの英語例文に戻ってきてもらえたら幸いだ。
(今回提示した例文は関係代名詞の練習用に作ったものなので、ややぎこちない点、ご容赦願いたい)